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大会も終わり、歌集紹介を始めます。

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久しくこの窓を締め切っていましたが、秋空をのぞいてみようと、やっと開ける気分になりました。

今年も大会は盛況で終わり、一年間準備をされてきた関係者の皆様、ご苦労様でした。
わたしは犬の子供、テオのために留守番をしていましたが、楽しい話を聞かせてもらっています。

さて、今年もたくさんの歌集が出ました。来年2月号は恒例の歌集歌書特集です。どんな批評が載るかお楽しみに。

その前に、ここではわたしが気にいった作品をご紹介したいと思います。

まずは、岡本貞子さんの第三歌集『苔の花咲く』(去年11月の出版です)から。

伊藤和彦さんの帯には、植物や動物がたくさん登場する歌集、それも「目立たぬ小さな動植物なのが特色である」と書かれています。

*夕晴れの玄関口に大ムカデ 夫を呼ぶから動かずにゐよ
昆虫を歌った代表作。

*晩秋の死は目立つゆゑ白壁に動かぬ蟷螂を庭に戻せり
これは生死を歌って唸らせる歌。

*偽りをじつと見てをり猪ぼどに拡大したるイナゴの貌を
デジタルの世界の操作能力、万能に近いもの、を批評しているのでしょう。
穏やかな主張が読み取れます。

生き物に向かう時の作者の感覚は幸福な一体感ではなく、違和感なのかもしれません。

わたしが特に気に入ったのは次の二首。
*麻酔液含める苦き口中に大きな蟻が入つて来たり
*どこの子と分からぬこの子白馬の辺離れぬこの子盗るならこの子
このドキッとする二首は連作の一部なので、どんな展開なのか、ぜひ歌集でお読みになってほしいと思います。